あなたに会えたあの日から

生まれる前のやくそくが、今、現実になる

よっしゃマンの逆上がり

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こんばんは。nicosaです。

 

新型コロナウイルス感染症の感染者数が増え続けています。

 

それぞれの現場で、自分が今寄り添うべき人たちから目を離さず、懸命に創意工夫を重ね、これまでの「常識」を破ろうと努力を続けていらっしゃる方々に、毎日感謝の気持ちでいっぱいです。

 

そして自分の内側に目を向けると、

この混乱の状況に

ただ振り回されて力尽きるのか、

それとも、その先の未来を創造していく

その担い手になるのか、

さあ、あなたはどっちを選ぶの?

そんなふうに

問いかけられているようにも

思えます。

 

「ないものは作ろう。」

「答えはいつも現場にある。」

 

わたしがよく、

一緒に働くスタッフの方たちに

言っていたことばです。

 

 

それを教えてくれたのは、

ずっーと前、

小学校のときの

担任の先生だったのかもしれないなあと

先生との逆上がりの思い出を

ふと思い出して

そんなふうに思いました。

 

今日は、学校という現場で、児童たちに正面から向き合い、精一杯の愛を注いでくださった、わたしの小学校時代の先生のおはなしです。

 

 

 

その先生は「よっしゃー!」が口癖で、

わたしたちはみんな、その先生を、

よっしゃマン!

と、呼んでいました。

 

わたしの

小学五年生の時の

担任の先生です。

 

 

今思うと、あのクラスには、

ちょっと問題のある子どもが、

集められていたのかもしれません。

 

 

よっしゃマンは、

タバコとお酒が大好きな先生でした。

学校でお酒は飲みませんでしたが、

教室でタバコを吸っていました…

 

でもそんなことをしたら、

大変なことになるので、

 

どうしていたかというと、

 

しょっちゅう、

太陽光線を見るという実験を、

わたしたちにさせていました。

 

 

(もう時効だと思うので…公表しても、よっしゃマン怒らないと思います…)

 

 

黒い紙を

まわりに貼り付けた虫かごが用意されていて、

 

虫かごのひとつの面は黒い貼り紙なし、

ひとつの面の黒い紙には丸い穴が空いている

という状態だったと思います。

 

その虫かごの中に、

よっしゃマンが、

「ふぅーっ」と、

タバコの煙を入れます。

 

虫かごは、

班に一つずつ用意されているので、

よっしゃマンは班の数だけ

タバコを味わえるわけです。

 

子どもたちは、

「またあ〜?」

と、言いながら、

よっしゃマンのタバコの煙の中へ

丸い穴から差し込んでくる太陽の光を

じっーと覗き込んでいました。

 

 

見えているはずなのに

いつもは見えない

太陽の光が、

よっしゃマンのタバコの煙の中に

はっきりと浮かび上がるのを

わたしもじっと

見つめていました。

 

 

口のまわりには

いつも無性髭が生えていて、

ちょっとタバコの匂いがするジャージを

いつも着ていました。

 

 

わたしたちは、

よっしゃマンのお髭で、

ほっぺたをジョリジョリしてもらうのが

だいすきでした。

 

 

あるとき、

体育の授業で

逆上がりをすることになりました。

 

 

何回か練習すると、

ほとんどの子ができるようになりました。

 

 

でも、わたしは出来ませんでした。

何回やっても、何回やっても。

 

 

逆上がりの授業は終わって、

その次の体育の授業からは、

ソフトボールをすることになりました。

 

 

ある日、

よっしゃマンが、

「nicosaさん、練習しよか。」

と、言いました。

 

わたしがキョトンとしていると、

 

「逆上がり、できるようになりたくないか?」

と、よっしゃマンはわたしに言いました。

 

 

 

それから、

毎日、毎日、

何週間続いたでしょう…

 

よっしゃマンとわたしは、

放課後に運動場の鉄棒で、

逆上がりの練習をしました。

 

タバコをくわえたよっしゃマンが、

わたしが鉄棒を握って

駆けあがろうとすると、

わたしの腰を持ち上げる。

 

ある日は、

よっしゃマンが

跳び箱の踏み台を持ってきて、

それを使って

わたしが駆け上がる。

 

 

それでもダメ。

 

 

よっしゃマンは、

縄跳びの両端を

鉄棒にしっかり結びつけました。

たるんだ縄の中にわたしが入って

縄の力を借りて駆け上がる。

 

 

「コツが分かればできる。」

「できるまで見ててあげるから。」

 

 

ほんとうに、よっしゃマンは

何週間も放課後に運動場で

わたしを見ていてくれました。

 

 

何にも言わずに。

 

 

ある日。

突然、

補助なしで、

逆上がりが

出来ました。

 

 

よっしゃマンが、

「よっしゃー!」と、

叫びました。

 

ガッツポーズをしました。

 

わたしをギューっと抱きしめて、

わたしのほっぺにお髭をジョリジョリ

すりつけました。

 

 

春の風の匂いが、少し違う匂いに

変わり始めた頃。

 

 

よっしゃマンの無性髭が、ちょっと

チクチク痛かったのを覚えています。

 

 

その頃には、

わたしとよっしゃマンの逆上がり練習会を

クラスの友だちが見に来るように

なっていました。

 

「がーんばれ、nicoちゃん!」

 

クラスの友だちが応援してくれました。

 

「できたー!やったー!」

 

友だちもみんな喜んで、

みんな、

よっしゃマンに

お髭をジョリジョリしてもらっていました。

 

 

 

よっしゃマンは、

わたしに、何を伝えたかったのでしょう。

 

「逆上がりのコツ」では

なかったんだと思います。

 

いじめられて、友だちの居なかったわたしに、

たいせつな何かを伝えようと。

きっと。

 

 

あのとき、

よっしゃマンに、

大切な何かをもらったはずなのに、

わたしはそれからもずっと、

友だちが居ても、

家族が居ても、

仲間が居ても、

ずっとひとりぼっちで居るような

気がしていました。

 

誰のことも信じられず、

自分のことすら信じていなかった。

 

 

新型の流行り病の流行の中で、

何かに腕を引っ張られるようにして、

引き留められ、

立ち止まって、自分の内側を

内観することになった

2020年。

 

 

いろんなことを、

自分の過去を思い出して、

何度も何度も

同じことを考えていました。

 

 

「わたしは、ひとりぼっちじゃなかった。」

 

 

 

 

何度も何度も、

 

その言葉が、

頭の中をくるくるとまわっていました。

 

 

 

nicosa