あなたに会えたあの日から

生まれる前のやくそくが、今、現実になる

仙人に会う


こんばんは。nicosaです。





今日は、


わたしが人生の中で出会った、
忘れられない登場人物の一人、


ランキングをつけるなら、


3位までには必ず入る、


わたしが「仙人」と呼んでいる人と、
出会ったときのことを、
お話をしたいと思います。



今日は、その前半部分。







大学4年生のとき、




わたしは、
人相見占いをする、
とある占い師のもとへ、
一人で向かっていました。




就職が決まらず、


占いなど信じないわたしが、
藁にもすがる思いで、
糸口を見つけたかったのかもしれません。

アルバイト先の先輩に教えてもらった、
占い師のもとへ向かいました。


怪しげな看板が掲げられた入り口の引き戸を、
わたしはそっと開けました。




受付の人が、



「お呼びしますので、そこでお待ちください。」



と、
わたしに言いました。



しばらくすると、
部屋の中から、
わたしを呼ぶ声がして、



ふすまを開けて中に入りました。




着物を着た、
長い白髪の、
白い長い髭を生やした、
仙人のような風貌の占い師が、
そこに座っていました。





大阪弁で、



「ああ、あんた。こんなむさ苦しいとこによう来はったなあ。若い娘さんが。一人でなあ。」



「まあ、座りなさい。」



「そうか、そうか。よう来はった。」



と、
わたしに言いました。





わたしは、
置いてあった座布団の上に座りました。





「どないしはった?恋愛のことかな?」




と聞かれて、



わたしは、
就職のことを占ってほしいと言いました。




占い師は、
わたしの顔をじっーと見て、
こう言いました。




「あんた、波長って知ってるか?」



「あんたとは、波長が合う。」



「占い師言うてもな、波長が合う合わんはある。波長の合う人のことは、よく分かる。」



「波長が合わん人のことも占えるように、勉強はするけども。」


「波長の合う人のことは、わしは顔を見ただけで分かる。わしの専門は人相見やからな。」


「あんたのことは、よう分かる。」





「ええか。よう聞きなさい。」




それから、
占い師は、


わたしの未来のことを、


話しはじめました。



「あんたは、子どもの本に関係がある場所で働く。それは、編集の仕事とは違う。」



わたしは、
何度もうなずきました。



占い師は、


「なんやあんた、知ってるんやな。ふーん。おもろい子や。」


大きな口を開けて笑いました。


「就職はできる。子どもの本に関係がある場所。編集の仕事とは違う。そういうこっちゃ。」

「他に聞きたいことはないんか?」

若い女の子なら、だいたいが、男さんのことを聞くけれど。」

「ん?」

わたしは首をふりました。


占い師は頭をかかえて笑いながら、


「おもしろい子やな、あんたは。」

「波長が合う人のことは、わしは、だいたいのことはわかるんやで。」



わたしは、
真剣な顔つきでうなずきました。







占い師は、
まじめな顔でこう言いました。




「あんたとは波長が合う。こんなに合う人はあんまりおらん。」




「あんな。」




「あんたは、爆弾抱えてこの世に生まれてきたんや。ハハハハハッ、いずれ分かる。わしの言う意味が分かる時が来る。ほんまやで。」




わたしが困った顔をしていると、



占い師は優しく笑って、



「せっかく来たんやから、男さんのこと見てあげよ。あんたかて、好きなお人ぐらいおるやろう?」

「男さんの名前と生年月日、教えてもらおか?それから、左手見せて。」


占い師は、
わたしの左手と、
顔もまじまじと見て、


それから、
うなずいて、



「その人はあんたを好きやけど、その人とは結婚せえへんよ。」


占い師は、
そこからは、
一気に話しました。


「あんたはな、結婚するのも付き合うのもみんな、すぐ近くにいる人。すぐ近くにいる人ですませてしまう。結婚するのは、すぐ近くにいた、だいぶ年上の人。あんたは人生で一度だけ浮気する。浮気というのはな、旦那以外の人に気持ちが浮くということ。こっちは年下。こっちの人には子どもが二人。うーん、出会った時はな。
このお人は、なかなかどうして、だいぶ上等な男さんや。相性もええ。あんたにとって、人生最高の相手や。このお人とは長〜く続く。二人ともなかなか離れられへん。でも、お互いに離婚はせえへん。旦那になる人は悪い人ではない。でも、どこにでもいる普通の人。それと、酒癖が悪い。最初から、旦那やのうて、こっちの人と結婚すればよかったけど、それもまた人生。あんたは長生きする。旦那になる人はだいぶん年上やし、あんたより先にあの世に行く。旦那になる人はあんたのことが好きやから、あんたを許すやろうけど、向こうの奥さんはそうはいかへんで。まあ、うまいことやりなさい。」


わたしは、
なぜだか分からないけれど、


前から知っているような気がしました。


不思議なのですが、
ちっとも驚きませんでした。


わたしは、
うんうんと、
うなずいていました。


「あんた、それも知ってるんやな。ほんまにおもしろい子やな。」



占い師は、
上を向いて笑いました。



「それとな。あんたの子どもは一人。女の子。この子には普通の名前をつけてあげなさい。京子とか。子がついてる名前がええ。人は、もらった名前で人生が変わってくる。あんたみたいに変わった名前がつくと変わった人生になる。女の子は普通が一番。」

「それと。子どもが生まれてから、あんたの人生はだんだん良くなる。だんだんやで。いっぺんには良くならへん。子どもが生まれるまでは、あんたには、ほんまにいろいろある。病気もするで。一回だけな。でも痛くもかゆくもあらへん。まあ、あんたは、何があってもわりと平気や。それに、あんたはお金に困らへん。もしお金がなくなっても、大丈夫になってる。あんたは、何が起こっても、大丈夫なんやな。」

「ん?」

「これでええか?」


占い師は、
優しくわたしに笑いかけました。

わたしは、
「はい。」と言って、
占い師にニコッと、
笑いました。



占い師は、
また喋りはじめました。


「あのな。言うとく。こんなむさくるしいとこ、もう、あんたは来んでよろしい。」

「でも、どうしてもしんどいときは、いつでも来たらええ。15年先ぐらい。それぐらいなら、わしもまだここで人相見やってるやろ。」

「大丈夫そうなら、来んでよろしい。こんなむさくるしいとこ。ん?わかったな?ええな?」


わたしは、
「はい。」
と、答えました。


立ち上がって、
仙人にお辞儀をして、
ふすまを開けて、
部屋の外に出ました。





nicosa

仙人のもとへ。