あなたに会えたあの日から

生まれる前のやくそくが、今、現実になる

嘘つき

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こんばんは。nicosaです。

 

 

三月はいつもどこか気忙しくて、吹く風に乗り遅れないように、新しい春の雲に乗り移ろうと気持ちばかりが慌ただしい…そんなかんじです。

 

この時期には、やり残したことは?忘れものは?そう自分に何度も確認して、「よし、次に行こう」と、次の新しい年度へ進みます。

 

今年は、いつもの年より、吹く風が速い気がします。だから、振り返る時間があまりありません。

 

でも、

「立つ鳥跡を濁さず!」

これは、祖父の口ぐせで、後片付けをきちんとしないと、祖父はわたしの膝をピシャンと叩くので、小さな頃から後片付けだけはきちんとしてきました。

 

2021年に入り、まだ自分の中で腑に落ちていなくて書きかけになっていた記事の内容が、「ああ、そういうことだったのか」と次々と腑に落ちていき、それを急ぎ足で書き留めてきました。

次の仕事がはじまる前に、あともう少しだけ、ややかけ足で書いていこうと思います。

 

 

今日は、友だちの旦那さんに「nicoちゃんは嘘つき」と言われた、言われ続けてきた…そんなお話しをしようと思います。

 

 

学生の時のアルバイト先で知り合って、

それからずっと仲良くしている

同い年の友だちがいます。

 

その友だちの旦那さんは、

わたしたちより3つ年下で、

 

大学時代、工学部だった彼は、いつも

「白衣を着て、何かを計量していた…」

(自分でそう言っている)人で、

 

そして、とても繊細な人です。

 

 

友だちが、はじめてわたしに

彼を紹介しようとした日に

彼は自分の車から降りて来ず、

 

わたしは彼に挨拶もできなくて

友だちは困ってしまったほど、

シャイな人でもあります。

 

 

わたしたちは彼のことを

彼の名前からとってkanちゃんと

呼んでいます。

 

kanちゃんは、

イタリア料理のシェフをしていて

10年ほど前に自分のお店を

持ちました。

 

パティシエをしていたわたしの友だちと

kanちゃんは、

修行時代に働いていた店で

知り合いました。

 

 

わたしたち三人は、

パン作りという

共通の趣味があって、

 

子どもが生まれる前、

有名なブーランジュリーの

パン教室へ

三人で通ったりしていました。

 

 

そうこうするうちに、

ようやくkanちゃんは

わたしに心を開いてくれて、

 

「kikoちゃんは、ほんとに天然で」

「そんなことも知らないで今まで生きてきたの?と驚くことが多いんだけど」

nicoちゃんもそう思う?」

「ほんとに、なんて言うか、素直というか」

「そう思わない?」

 

と、わたしの友だちkikoちゃんのことを、

そんなふうに

わたしに話してくれるようになりました。

 

kanちゃんは、

あまり喋らない人ですが

(自分に興味のないことはとくに)、

 

kikoちゃんのことは

よくわたしに話しました。

共通の話題が、パンのことか

kikoちゃんのことぐらいしか

なかったからかもしれないけど。

 

 

でも、彼が、kikoちゃんのことを

とても好きで、たいせつに思っていることは

わたしには伝わっていました。

 

 

kanちゃんとkikoちゃんに

子どもが生まれた次の年。

 

kanちゃんは

一大決心をしました。

 

娘のkaeちゃんが

まだ6ヶ月ぐらいだったと

思います。

 

イタリアへ行く。修行の旅へ。

今行かないと、もう行かない気がするからと。

 

 

「これからkaeちゃんは」

「言葉を話したり、歩いたり」

「そんな可愛い時期に側にいられないのは」

「とても辛いけど」

「行かなきゃいけない気がするんだ」

 

そう、話してくれました。

 

わたしは少しだけ

せんべつをしました。

 

 

 

そして、それから。

 

 

イタリアへ渡ったkanちゃんと、

なぜかわたしは

毎日のようにメールのやりとりする

ことになります。

 

 

どうしてそんなことになったのか

よく覚えていないのですが、

 

 

kanちゃんの送ってくる

ローマ字で綴られたメールを

眠い目をこすりながら

一生懸命読んで、

 

きっとこういう情報が欲しいんだなと

読み取って、

 

次期ローマ法皇の話は

日本ではどんなふうに報道されてるか

とか、

 

コンクラーヴェってどんな行事なのかとか、

 

仕事と語学学校で忙しい

kanちゃんに代わって、

 

子どもの夜泣きで

寝られない日が続いていた

kikoちゃんに代わって、

 

そういう情報を、

夜中に一生懸命

ローマ字で入力して、

それをkanちゃんへ送る日が

続きました。

 

 

「今日シェフに次期ローマ法皇の話をしたら」

「日本人なのによく知ってるねと」

「褒められたよ」

 

と、kanちゃんから

返信がくると、

やれやれと

ホッとしました。

 

 

そして、一年が過ぎ。

 

 

次の春、kanちゃんは

kikoちゃんとkaeちゃんの待つ

日本へと

帰国しました。

 

 

その後からです、

kanちゃんが

nicoちゃんは嘘つきだ」と

言い始めたのは。

 

 

直接わたしには言いませんが、

kikoちゃんから、わたしは

 

「kanちゃんが、nicoちゃんは嘘つきだって」

「そういつも言うのよ」

 

と、よく聞くようになりました。

 

 

わたしが送ったメールの内容に

何か齟齬があったのか…

間違った情報をkanちゃんに

送ってしまったのか…

 

ちょっと、しばらく

落ち込みました。

 

でも、kanちゃんは

わたしに会うときは、

そんな話は一切しないのです。

 

「わたし、嘘つきなのかなあ」

 

他人に嘘をつくことが

絶対にないとは言えないけど、

 

他人に迷惑になるような

そんな嘘はつかないと思うけど…

 

kanちゃんは

わたしの何を見て、

「嘘つき」だと思ったのでしょう。

 

kanちゃんとのメールには

特に私情は書かず、

必要そうな時事ネタしか

書かなかったはずなのに。

 

 

わたしはそれから、

kanちゃんのことが

少し苦手になりました。

 

「見透かされている…」

 

無意識に、そんな気がして

怖かったのかもしれません。

 

 

 

最近思うのは、

 

kanちゃんとわたしは、

たぶん、似ているのだと

思います。

 

だから二人とも、

 

kikoちゃんが

必要なのかもしれません。

 

 

素直で、明るくて、

いつも前向きな

kikoちゃんが。

 

 

慎重で、怖がりで、

それなのに

使命感ばかり強くて、

心の中では

いろんな糸が複雑に絡み合って

考えれば考えるほど、矛盾だらけで

自分では、もう、

どうしようもなくなって

途方に暮れている。

 

 

そういうところが、

似ているのかも

しれません。

 

 

でも、kanちゃんは

kikoちゃんというパートナーを

見つけて、

 

 

そこから

少し抜け出したのかもしれません。

 

 

単身でイタリアへ行き、

苦手な語学も克服して、

シャイな自分も、

脱ぎ捨てて。

 

 

 

わたしは「自分」に、嘘をついてる?

 

 

ふと、そんなふうに

思いました。

 

 

怖がりな自分、

ともすればすぐに他人に依存してしまう自分、

そんな自分を隠すために、

 

そして、

人と同じように見えるように、

なるべく同じように見えるように、

 

自分に仮面を付けて、

いつも楽しそうに見えるように

何も悩みなどないひとのように

そう、見えるように。

 

もうほんとうは、そんなのは

懲り懲りなはずなのに。

 

 

わたしは「嘘つき」。

汚名返上するには

どうすればいいのか…

 

 

ほんとうの自分を

ありのままの自分を

見せられる人と一緒にいること…

 

…だよ、nicoちゃん。

 

kanちゃんは、

そう言っているのかもしれません。

 

 

 

 

わたしは、kanちゃんの作る

「サヴァラン」というフランス菓子が

大好きです。

 

*サヴァランは、

「ブリオッシュを切って紅茶味のシロップを染み込ませて冷やし、ラム酒やキルシュをかけて生クリームや果物で飾りつけたもの」

Wikipedia「サヴァラン」の項より引用)

 

 

とてもシンプルなお菓子ですが、

しっかりとシロップが染み込んでいないと

興ざめする…作る人の人柄も現れてしまう…(これはkanちゃんと意見が一致)そんなお菓子です。

(わたしは、生クリームもフルーツも付いていないほんとうにシンプルな「サヴァラン」が好きです。それもkanちゃんと意見が一致…)

 

日本では、興ざめしない「サヴァラン」にはなかなかお目にかかれない…と、パン教室に通っていた頃、kanちゃんは、そう言っていました。

 

 

でも、

わたしは

kanちゃんの作る「サヴァラン」が

いつでも食べられるから大丈夫。

 

(前日に予約が必要です。シロップをしっかり染み込ませるために…)

 

 

緊急事態宣言が発出されてからは、

お店を休業することが多いと聞きました。

 

「不安がいっぱいだよ」と、

メールをくれたkikoちゃん。

 

kanちゃんの「サヴァラン」を食べると

kanちゃんの優しさと繊細さが

とてもよく分かります。

 

またお店行くからね。

 

(「ここはフランス菓子の店じゃなくて、イタリアンの店だからね!」って怒られるのは覚悟して…)

 

 

nicosa

 

 

※トップの画像は、kanちゃんからもらったイタリアのお土産です。修行の旅をして帰国した後、わたしはこの人形を「kanちゃんが、これ、nicoちゃんにって」と、kanちゃんの奥さんのkikoちゃんから受け取りました。

nicoちゃんにぴったりだと思ったんだって。一生懸命選んだらしいよ」と。

…わたしは、自分では、絶対に「天使」の人形は買いません…自分には一番似合わない人形だと思うから。だから、これがわたしにぴったりと言われて、とても気恥ずかしい気もして。でも、とても嬉しかったです…kanちゃんありがとう。