こんばんは。nicosaです。
わたしは、子どもの頃、いろいろな「もの」とお喋りをしていたようです。
葉っぱや、石や、花や、樹や。
静物と話すことが多かったようです。
母は、よく、「だれとお話ししてるの?」とわたしに聞いていたそうです。
風で折れてしまったタンポポの茎に、
包帯を巻いたりする、
少し変わった子どもだったそうです。
人と話すよりも、
静物と話す方が心地よかったのかもしれません。
小学4年生の4月、
わたしの家族は、
新しい街へ引っ越ししました。
引っ越し先の小学校で、
わたしは、なかなか友だちができず、
「気持ちわるい!」
「あの子とは仲良くするな!」
と、
いじめられていました。
わたしは、その土地の方言が話せませんでした。
転校生には、よくある話です。
休み時間や放課後はトイレにこもり、
放課後は、みんなが家に帰って、
学校が静まり返ったのを確認してから、
トイレを出て、家に帰りました。
それでも朝が来れば登校し、
トイレに隠れて、
そっとトイレを出て家に帰る、
毎日毎日その繰り返し。
引っ越ししてからは、
笑うことが少なくなりました。
そんなある日、
自宅の自分の部屋で本を読んでいた時です。
どこからか、声が聞こえてきました。
「必ず逢いに行くから。」
「必ず迎えに行くから。」
だれ?
だれなの?
どこにいるの?
「必ず逢いに行くから。」
「必ず迎えに行くから。」
その声は繰り返し聞こえます。
静かな優しい声。
行かないで!
ひとりぼっちにしないで!
そんなことを言うつもりはないのに、
ひとりでに、わたしが、その声に答えます。
声は聞こえなくなります。
あとから、あとから、
涙が溢れて出て止まらなくなります。
そんな不思議なことが、数日続きました。
でも、
いつからか、
その声は聞こえなくなりました。
夢をみていたのかもしれないと、
そう思いました。
そして、わたしは、
その声のことを忘れてしまいました。
けれど、
長い時が流れ、
ある時、
その声のことを思い出すのです。
彼と出会い、
4年が経ったある日。
あの声は、
あの人の声だったの?
ふと、そう思います。
あれは、夢なんかじゃなかったのかも。
わたしを追いかけて
地球にやって来たあの人が、
わたしと同じ地球の言葉を
いっしょうけんめいに覚えて、
わたしに話しかけてくれた。
そして、大人になって、
必ず逢いに行く、
必ず迎えに行く、
その約束を、
ちゃんと守って、
わたしを見つけ出してくれた。
なぜか、そう思えました。
なぜだか分からないけれど、
後から後から涙が溢れ出て、
止まらなくなりました。
nicosa