あなたに会えたあの日から

生まれる前のやくそくが、今、現実になる

東京大学


こんばんは。nicosaです。



東京大学に行って来ました。
工学部学舎の建物を見に。









2018年5月2日、
子どもの頃から、
大好きだった絵本作家が、
亡くなりました。



多くの科学絵本を残した、
かこさとし(加古 里子)さん。




「からすのぱんやさん」「だるまちゃんとてんぐちゃん」「とこちゃんはどこ」「伝承遊び考」など600点余りの作品を残した作家で、児童文学者でもいらっしゃいます。


東京大学の工学部応用化学科を卒業し、その後、工学博士学位記を受理。
また、技術士(化学)資格を取得していらっしゃる、異色の絵本作家です。




わたしは、
子どもの頃、
かこさとしさんの絵本に、
夢中になりました。




何度も、何度も、繰り返し、繰り返し、
ページをめくり、

その文と絵を、
何度も、何度も、繰り返し、繰り返し、
目で追いました。

表紙も裏表紙も、本文ページも、隅々まで、
何一つ見落とすことがないように。
本がボロボロになるまで。




2008年に、菊池寛賞を受賞。

2009年には、絵本を通して子どもたちに科学の魅力を伝えてきた功績が認められ、日本化学会特別功労賞を受賞されました。



かこさとしさんは、わたしの祖母と同世代で、
1926(大正15)年生まれ。

高校生の時には、
軍需工場に動員され、

疎開先で、19歳の時に、
敗戦を迎えていらっしゃいます。




幼い頃から、
絵を描くことと、
飛行機が大好きな少年で、


将来は航空士官になることを、
夢見ていたそうです。


でも、
近視のため軍人にはなれず、
東京大学工学部に入学しました。


同じように軍人志望だった多くの友人が、
戦争で死んでしまい、
ひとり生き残り、


そんな自分のことを、

「死にはぐれ」と、

責め続けたそうです。





また、その頃、
敗戦を機に、
態度を急変させた、
大人たちにも失望してしまい、



戦後の時代を、
心が空っぽになってしまったような、
虚しい気持ちで、
過ごされました。



そんなときに演劇に出会い、
中でも児童劇に、
やりがいを見い出し、



やがて、
川崎で、
セツルメントのこども会活動に、
熱心に取り組むようになります。



セツルメントとは、
地域住民の生活向上のための助力する、
社会事業およびその施設のことで、


戦後の川崎では、
東大生による、
セツルメント活動が、
盛んに行われていたそうです。


古市場(現在の川崎市幸区古市場)には、
大企業の工場で働く労働者たちが集住し、
その家庭の子どもたちが、
大勢、セツルメントに、
やって来ました。



大学の在学中に、
子供向けの演劇脚本を書き始め、


大学の教室で、
自作・演出の「夜の小人」を、
近隣の小学生を招いて、
上演しました。



卒業後は、
化学メーカーの会社員として働きながら、


その合間を縫って、
セツルメントで、
子ども会の活動に打ち込みました。



紙芝居や、

幻灯の作品も作り、

作っては子どもたちに披露し、

小さな観客たちを、
楽しませることに、
一生懸命だったそうです。


それが、
絵本作家としての、
原点になったと、
後におっしゃっています。




子どもは正直ですから、

面白いと思わなければ、

一人席を立ち、
二人席を立ち、
とうとう、
だれも席にいなくなってしまうことも。


当時のことを振り返り、
「子どもたちに教えてもらった」
「子どもたちが自分の先生だった」
と、そんなふうにおっしゃっています。





会社員時代、
33歳 のとき、
デビュー作、
絵本「だむのおじさんたち」(福音館書店)を、出版。


この絵本には、
ダムと、人の生活が描かれています。


わたしの大好きな、

川が生まれて、海に流れ込むまでを描いた、
「かわ」(福音館書店)も、


未来都市のような、かみなりの国が描かれる
「だるまちゃんとかみなりちゃん」(福音館書店)も、

会社員時代に制作された作品です。




退職後も、
作家活動を続け、
58歳の時に制作された、
マトリョーシカちゃん」(福音館書店)は、
cicoも大好きな絵本です。




東京大学 教育学部や、

東京都立大学 人文学部

横浜国立大学 教育学部

多くの大学の教壇に立ち、

非常勤講師も務められました。
 
東京都立大学は、現在は首都大学東京、2020年4月〜東京都立大学





かこさとしさんは、



かつて、子どもの頃、

時代に流されるままに、

「軍人になりたい。」と、そう思ったことを、

とても後悔していたそうです。




未来を生きる子どもたちには、
どんな時代の中にあっても、
世の中の風潮に流されることなく、



どんな困難にぶつかったとしても、

自分の頭で考え、

自分自身で答えを導き出し、

行動する、

そんな人になってほしい。




かこさとしさんの作品には、
そんな想いが感じられます。



作品は、
自学自習の楽しみに、
溢れています。


何も教えず、
何も育もうとせず。


ただ、

自分で探す、

自分で見つける、



その喜びを、
与えてくれます。



子どもの頃のわたしは、
かこさとしさんの絵本に、
夢中になりました。

自分で考える楽しみを、
自分で見つける喜びを、
自分の力で行動するワクワク感を、
その絵本の中に、
感じていたのだと思います。






 

かこさとしさんは、

学生時代に、

この大学で、

この場所で、
 


自分が夢中になれることを、
自分の仕事を、
見つけたのかもしれないなあと、


この場所に背中を押してもらって、
宿命を楽しむ旅を、
歩み始めたのかもしれないなあと、


そんなふうに思いながら、



1935年に建てられた、
趣のある工学部の学舎を

構内のスターバックスのカウンターに座り、

長い間、
眺めていました。








nicosa