あなたに会えたあの日から

生まれる前のやくそくが、今、現実になる

空耳

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こんにちは。nicosaです。

 

 

 

さくらの花が咲いていた3月の末、

試合中にcicoが怪我をしました。

 

 

たいせつな右膝の、大きな怪我。

 

 

ようやく8月に手術ができる目処が立ち、真っ暗だった先行きにも光が見え始めました。

 

 

わたしが、

サッカーボールなんかもう見たくないと

そう思っていたときも、

 

cicoの未来を案じて

思い悩んでいたときも、

 

cicoは黙々とリハビリに通い、

 

所属チームの最高学年の選手として

後輩たちに声をかけました。

 

 

 

リハビリのジムのトレーナーさんに、

 

「サイドを駆け上がって、

中にいる選手にパスを出すのが好き」

 

 

嬉しそうにそう話すcicoを見たその瞬間、

 

 

「cico、サッカーなんか、

もうしないで」

 

わたしの中から、その言葉は

消えていきました。

 

 

 

「もう一度サッカーがしたい」

cicoはわたしにそう言いました。

 

 

「大学ではサッカーはしない」

 

「でも、高校でサッカーに復帰する」

 

 

手術をして8〜9ヶ月後に

復帰を目指します。

 

 

 

 

昨年2020年の夏。

cicoはわたしに、

 

「スポーツトレーナーになりたい」

 

「サッカーをする選手を

サポートする人になりたい」

 

とても嬉しそうに、

そう話しました。

 

 

 

 

はじめてリハビリのジムを訪ねた日、

ジムのトレーナーさんに

わたしはその話をしました。

 

 

 

トレーナーさんは、cicoに

 

「どうして

トレーナーになりたいと思ったの?」

 

と聞きました。

 

 

 

cicoは、

 

「選手にはなれないと思ったから」

 

 

「サッカーのまわりの仕事を調べて

トレーナーになりたいと思いました」

 

そう答えました。

 

 

 

理学療法士の資格は

取っておいた方がいいよ」

 

 

「僕は選手だったけど、

大きな怪我をして選手を諦めたんだ」

 

 

「勉強して理学療法士の資格をとって、

病院に勤めて、つながりを作って、

選手をサポートするスポーツトレーナーになったんだよ」

 

 

「フィールドにいる選手の

サポートをする機会もあるよ」

 

 

トレーナーさんはそうcicoに

アドバイスをしてくださいました。

 

 

cicoは真剣な顔つきで、

それを聞いていました。

 

 

 

 

彼女は、まだ

14歳。

 

「どうしてわたしだけ

こんなことになるの⁈」

 

泣き出して、

イライラして、

 

物にあたるときも。

 

 

 

だけど、大丈夫。

きっと超えていける。

cicoなら、きっと。

 

 

 

 

 

2月のはじめ。

森の近くを散歩していたときに、

十数年ぶりに

ジョウビタキを見ました。

 

 

まるまるとよく肥えた

少し大きめのジョウビタキで、

オレンジの胸元が色鮮やかな

白い帽子と黒いマントを纏った

立派な雄のジョウビタキでした。

 

 

わたしが近づくと、

すぐに姿を消しました。

 

 

 

空に向かって耳を澄ますと、

 

 

「キッ、キッ」

「カッ、カッ」

 

 

その鳴き声だけが

遠くから

聞こえてきました。

 

 

そして、その声は

 

少しずつ

 

聞こえなくなりました。

 

 

 

 

 

nicosa